November Letter

レビュー
　AQUARIAMUSICSは、旧名・
すいでんげつこと、水田ケンジが
主催するサークル。氏はイラスト
レーターや漫画家としてプロ活動
を行う他、作曲活動も行うマルチ
な才能で知られている。音楽制作
の作品は寡作であるが、いずれも
七○年代プログレの息吹を受けた
構築美で、同人音楽に馴染み無い
プログレ好きからも評価は高い。
　本作品は東方紅魔郷のＢＧＭを
中心としたアレンジ作品。ＥＬＰ
の名邦題をもじった題名からして
プログレを意識して製作したのは
明確であるが、その中身も相当に
濃い仕上がりの本格的プログレ盤
となっている。
　特筆はアルバム中核を成す組曲
のＭ２～６で、原曲のクラシカル
かつ西洋的な空気を損なわず昇華
させた、ヘビィ・シンフォニック
プログレの傑作。フルートの音色
とテクニカルなキーボードの躍動
が仄暗い旋律に乗り暴れ回る展開
は、ムゼオ・ローゼンバッハなど
イタリアンロック好きを公称して
いる氏だけあって、作品の随所に
その影響を感じさせる。ドラムの
物々しい程な捌き具合に、シンセ
やメロトロンの洪水等、圧倒的な
迫力で迫る音色の奔流は、詰込み
すぎな感も若干否めなくはないが、
この大仰で目の眩む様な展開こそ
イタリアンプログレの構築美に他
ならない。
　ブックレット内に描かれた美麗
な東方漫画も必見。