November Letter

レビュー
　初音ミク×ファイヤーエンブレム×
プログレッシヴロックという前代未聞
なクロスオーバー作品。主催のIraruは自身のレーベルにてプログレ系の同人音楽作品を発表する傍ら、プログレ系バンドも結成、積極的な活動を行う。その熱いプログレ魂と、些か暴走気味な熱意のアウトプットは要注目。
　本作は2012年頃にItaruが制作したボーカロイド曲を中心にアルバム化

した作品。作者が動画サイトに公開した組曲作品を元に構成された内容で、リスペクトするリック・ウェイクマンなど、所々にプログレを意識した音色が伺える。但し、楽曲的にメリハリの無い展開が伺えてしまい、打ち込み音と生演奏の違和感が強まってくる困惑
な一枚になっている。「やんごとなき
☆ヤンデレ」など、インパクトのある
導入の曲もあるだけに勿体無い。
　３曲目から表題曲となる組曲が開始
されるが、ロックというより物語系の
ドラマサントラに近い印象。劇伴調な音色の構成は空間的に響くが、鍵盤・ボカロどちらかが強烈に場を引っ張る流れが欲しい所。「西暦２２２２年」のように、シンセの響きとミクの歌声がうまくバランスしたアグレッシヴな歌唱曲もあるので、色んな意味で期待したい作品。