November Letter

​レビュー
　月読レコードは、コンポーザー
の翡翠が主催する音楽サークルで
あり、独自の和風プログレッシヴ
・ロックを発表し続けている注目
のサークルである。
　翡翠は演劇や商業のゲーム音楽
作曲等で活躍する他、神楽笛など
和楽器の演奏、カウンターテナー
として歌手を務めるなど、多彩な才能で知られている。
　本作は翡翠のソロ作品。全５曲
のミニアルバムとなっているが、
いずれの楽曲も珠玉の完成度で、
同サークルの入門用としても是非
勧めたい内容である。
　冒頭、稚児が戯れるように唱う
ボーカロイドの混声曲でアルバム
は幕を開ける。
　表題曲でもあるＭ２では、更に
旋律の美しさに磨きがかけられて
いる。琴など和楽器やメロトロン
の音色、翡翠のボーカルが重なり
紡がれる幻想的な大曲は、一般の
プログレでもあまり聞いたことの
無い響きに満ちている。人工的な
大仰さや派手さとは無縁な、自然
らしい力強さと温かさを内包した
楽曲は、四季の恩恵に抱かれた、
日本ならではのプログレッシヴ・
ロックだと思わずにいられない。

　アルバムは廃盤だが、2020年

にapplemusicにリマスター版が

配信されている。

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